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マミーボート女湯事件簿 [手記]

1970年代、ゆういちの少年期シリーズ、第6弾。

森永のマミーを飲むと“マミーボート”が当たるらしく、喉から両手や足が出るぐらいほしいのだけど、マミーボートは永遠のあこがれだ。それもそのはず、銭湯で風呂上がりに毎日マミーは買ってはもらえないから、当たるわけがない。マミーボートは、お風呂で遊べる水中モーター付きの船で、赤と青の船体の下に魚雷のような水中モーターが付いてかなり魅力的だ。
今日は、遊び道具なしで洗面器に石鹸とタオルだけ入れて銭湯。
もし、うちにお風呂があったら夢のような暮らしができたとは思うけど、お風呂があったらいいなという発想もない。それもそのはず、気がついた時からボロアパートに住んでいたから。
両親と弟の四人で、テクテク歩いて五分ほどのところにある銭湯に向かった。日課のひとつなので、苦もなく、寒い冬や、雨の日も、毎日銭湯に通っている。

お母ちゃんは弟を連れて、“ゆ・女”の暖簾をくぐった。
僕は、お父ちゃんより先に “ゆ・男”の暖簾をくぐり重いガラス戸を引いた瞬間に、鼻からお風呂の匂いと湿気を吸い取って、番頭で20円を払った。
脱衣所で服を脱いでいる最中マミーボートを持っているモヤシみたいな少年をみかけたので、実物をこの目に焼き付けようと、必死になってマミーボートを凝視した。いいかげん目に焼き付け終わって、素っ裸になったこともあるので、何もなかったように浴場に駆け込んだ。
たぶん、あのモヤシ少年のマミーボートは、僕の超能力で電池が切れたはず。ヘ、ヘ、ヘ

夕方の銭湯は大好きだ。
天井近くのたくさんの窓が黄金色にキラキラ光り、ほどよい自然光が浴場にそそぎ、露天風呂に行ったことはないが、露天風呂に入っているような気分になって気持ちがいい。それに、エコーがかかる桶の音が、お寺や神社みたいに神聖な気持ちになり、心地よくて素敵だ。
後ろを振り返ると、壁には大きな見慣れた絵が描かれている。
遠くに富士山、手前には湖に浮かぶ神秘的な島。島の中は深緑の松林、赤い鳥居に赤い太鼓橋、誰ひとりいないが弁慶がよく似合うと思う。じっと見ていると、冷たいタイルの中に吸い込まれてしまって帰って来られないような錯覚がする。ここには絵の世界と現実を行ったり来たりできる入口がありそうで怖いのだ。でも、絵の世界に入って鳥居をくぐって太鼓橋を渡って弁慶に会ってみたい。

ここの銭湯の近くに、クミジムショがあるので、入れ墨を見事に入れたおっちゃん達が必ず銭湯にいる。僕から見れば、普通のおっちゃんと比べると、入れ墨が有るか無いかの違いだけで、特別どうこうということはない。このあいだ、お父ちゃんの横で体を洗っている最中にタオルを振り回したら、入れ墨のおっちゃんをしばいてしまって、すかさずお父ちゃんが愛想笑いをして頭を下げたことがあった。その時から、お父ちゃんは入れ墨の人が苦手なのだということがわかった。
もし、お父ちゃんに何か悪いことが起きたら、クミジムショの組長さんの息子の戸田君が僕と友達だから、戸田君に相談する最終手段は想定している。もし、そうなったらお父ちゃんは、何故それを最初から教えてくれなかったのだと言うのだろう……えへへ、まっ、いいや。

僕は小学生の低学年なので、男風呂と女風呂を番頭の前の暖簾をくぐって、行ったり来たりする。お父ちゃんとお母ちゃんの石鹸や手紙のやり取りも依頼されれば、反対側に配達に行き、大人にはできない特権を最大限利用している。
今日は、何の用事もなかったけどフラっと女風呂に行って、お母ちゃんの背中を叩いてから、弟と湯船につかって遊んだ。
今日、フラっと行ったのが間違いだった。
湯気の向こうに、どこかで見た女の子が入ってきたのに気づいた。
しまった、同じクラスの女子、片山だ。
なんで? この銭湯ではいっしょになるはずがないのだけど、たぶん片山の住んでいる地域の銭湯が休みだったからここに来たのだ。
あの、キツイ片山、最悪。
あの甲高い声、こめかみに、げんこつでグリグリされるみたいに不愉快なので片山に間違いない。
僕らの湯船に向かってくる。
弟の横で鼻まで沈んで、浮上した潜水艦みたいになって待機していた。
弟は潜水艦がおもしろいらしく、大波をぶつけてきた。
弟に向かって、これは特殊作戦なのだと目をパチパチさせて合図したが、その信号は大波なんかへっちゃらさーと解釈され、さらに激しく大波をぶつけてきた。
我慢できなくなり、湯船から飛び出したと思ったら片山と目が合ってしまった。
片山は間髪入れずに、「学校で、ゆうたろー、ゆうたろー、学校で、ゆうたろー、ゆうたろー」と言いつけ歌でキツイ顔をして歌い出した。何度も、何度も、歌っている、もうどうにも止まらない。男風呂までエコーがかかって聞こえるぐらい歌っている。
それにしても、片山はなぜ恥ずかしがらないのだろう? まっ、いいや。
こればっかりは、クミジムショの戸田君に相談しても解決しない。
この場での唯一の解決方法は、僕がここから瞬時に消えることだ。
「なに言うてんねん、おまえは、Qたろーか」と捨て台詞を吐いてから、男湯に向かって、円を描くように番頭の前の暖簾に飛び込んだ。
男湯に無事に避難は成功したけど、待ち受けていたのは入れ墨の見事な太ったおっちゃんの腹だった。わんぱく相撲に参加して関取との立合い直後のぶつかりのようになってしまい、その腹に「ペターン」って、ぶつかり、周りの観客から大爆笑されそうだった。
そして、入れ墨の見事な太ったおっちゃんから怒鳴られて、散々な目にあってしまった。
mame_boat.png
どうやら、モヤシ少年に超能力シグナルを送ったからバチが当たったみたいだ。
マミーボートを持っていることが羨ましく、その気持ちが抑えられなくなって妬みへかわってしまった。
「モヤシ少年よ、ごめんな、ひとつ勉強になったよ」
そう頭の中で格好よくつぶやいた。
そして僕は気持ちを切りかえて、弟の手を引いて家族といっしょにボロアパートへ帰った。
その夜、布団の中に入ると、片山の裸を思い出すのと同時に、とてもいい考えを思いついた。そうだ、片山に超能力シグナルを送って、風邪をひかせて学校を休ませよう。ついでに、今日の記憶を消してやろっと!
それから、一生懸命、布団の中で念じた。
へ、へ、へ、へ


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ShaCa(ロトオークション)の攻略

ロトオークションのShaCaってご存じでしょうか?
インターネットプロバイダーSo-netのコンテンツのひとつ、こんなトップ画面です。
知らなかった人も必ず興味が沸いてくるはず。
shaca1.JPG

毎週10品ほど出品される家電製品(電動自転車や料理鍋もあり)に自分が決めた言い値で入札し、入札した価格が自分ひとりだったら商品をその価格で購入できるものです。
参加費用は、月額330円(税込)です。

例えば、50インチの液晶テレビだったら、10円~2900円というような入札額の範囲が決められていますので、その範囲内で価格を決めて入札します。10円で入札して、その10円で入札した人が自分ひとりだったら、10円で商品が購入できます。
入札者が自分ひとりだけだったら文句なし当選なのですが、仮に最も少ない入札の価格に複数の人が入札していた場合は、ShaCaの入会期間の最も長い人が当選です。”入会期間の最も長い人”、うまく考えたものだと思います。暗に、この縛りを仕組んでいるので私は脱会することなく会費を払い続けているのです。

抽選は2か月後になりますが、私は手当たり次第に毎週入札(飲食関係はスルー)するので、抽選日が待ち遠しいということはありません。毎週毎週、2か月前に入札した商品の抽選結果発表が巡ってきますので。
要は、誰一人選ばない数字を予測して入札すればよいのですが、実はそんなに簡単に当選するものではありません。私が入会したのは、たしか2014年頃、最初に当選したのは、幸運にも入会一年後のことでした。それっきり当たっていません。支払った会費は累計3万円ほどになります。
DSC_1259.jpg

その一年後に当選したという家電製品は、ソニーのブルーレイディスクレコーダー、1700円台で入札したものです。金曜頃にメールで当選連絡が入り、翌土曜日に宅配便で送られてきました。商品の価格+送料+代引き手数料を宅配スタッフに払い、商品入手の流れでした。オークションといえば中古品のイメージがありますが、すべて新品です。私はその当時、既にブルーレイディスクレコーダーは所有していたので、特に必要としていなかったのです。ほしくないものが当選する、そんなものです。ハイエンドの商品ではなかったということもあり、微妙な当選でした。
しょうがないので、既存のブルーレイディスクレコーダーの上に重ねて、アンテナ接続を直列接続にして使用しています。

入会してからはずっと、その場で思いついたランダムな数字で入札していましたが、当選が一回というのも、何とかならないかと考えたのです。当選の価格に何らかの傾向があるのではないかと思い、過去の当選価格を調べてみたのです。
ShaCaのトップ画面左上の、「MENU」→「過去の当選金額」から表示できます。
shaca2.JPG

このような「過去の当選金額」のリストが表示されます。
shaca3.JPG

コピー&ペーストで、Excelにコピーして、解析しやすいように整形し製品ごとの傾向を調べてみたら、なんとなくわかってきました。
それ以降は、なんとなくわかった自己流で入札を続けていますが、かするだけで、いまだに2回目の当選がありません。
以下のように、もうちょいだった結果がよくあります。

【もうちょいだった例1】
私が入札した額は1602円、しかし当選は、1621円
shaca4.JPG

【もうちょいだった例2】
私が入札した額は2131円、しかし当選は、2313円
shaca5.JPG

テンパイまではしているのですが、ほかの参加者が「ロン」と言って上がってしまします。
この記事で、私の法則を述べても、当たらないと言って文句を言われそうなので公言しません(笑)せっかく、期待してここまで読んでくださった方には申し訳ないです。
こればっかりは、参加者同士は競合するので言うべきでないと考えるのは自然なことですのでお許しください。
興味があれば「過去の当選金額」で傾向を調べてみてください。
何か発見があったら、私にこっそり教えてくださいね。
Let’s ShaCa !


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沸騰した薬缶のおっちゃん [手記]

1970年代、ゆういちの少年期シリーズ、第5弾。

 軍艦マーチが鳴り響いた店内で、僕が手を引いている弟の口の周りは真っ黒で、洋服も胸のあたりまで汚れている。大好きなチョコレートをお父ちゃんから貰っておいしそうに食べているのだ。弟はパチンコ屋では放し飼いされているように、片手には必ずチョコレートを持って店内を動き回っている。その弟はパチンコ屋によく来る証として、歯はボロボロで前歯が無い。
 お父ちゃんは仕事が休みになると、僕と弟を連れて国鉄K駅近くにあるパチンコ屋に連れてくるのだ。今日もまた、前と同じパチンコ屋に連れて来られた。パチンコ以外に、何処かへ連れて行ってくれるとか、キャッチボールをいっしょにするということは、例えお父ちゃんが前の日にグローブをプレゼントしてくれたとしても、無い。
 耳を突く軍艦マーチに、煙草の臭いや、床に沁み込んだ油の臭い、劣悪な環境だけど、弟はチョコレートに誘われて連れてこられ、僕はお父ちゃんについて行かなくてはならない使命感があるのでついてきている。

 お客さんは殆どおらず、いつもガラガラで広く感じる。お父ちゃんは、手慣れたように壺のような機械から玉を買って、煙草をふかしながら自分の好きなパチンコ台で遊んでいる。左手に玉をたくさん握って右側の穴から、親指を器用に使って等間隔に入れて、そのリズムに合わせるように右手でレバーを弾く動作を飽きもせずやっている。交差する左右の手の恰好良さと、機械のような正確な動作を見ていると、大人はすごいと、いつも思う。
 お父ちゃんは玉を弾きながら、僕と弟に玉を拾うように言い付けることがあるので、弟といっしょになって猫のように転がっている玉を追っかけている。
たまに、店員が僕と弟を制止しようとしてくるので、その時だけは二足歩行の猫になる。忘れた頃、猫になって玉を追っかけても何も言ってこないので、玉拾いに励み、獲得した玉をお父ちゃんに献上している。店員は制止する時と玉を拾わせてくれる時があるので、僕としては、この猫になる行為が良いか悪いのか判断できない。
 たまに、お父ちゃんの隣に座って弾くと、自分でもお父ちゃんより上手だと思うことがあり、下皿にまで玉が溢れることがある。この時も、店員が来て、肩をちょんちょんされて、制止しようとする。
その時お父ちゃんは、苦笑しながら “するな”というような合図を僕に送る。
なぜ、店員は僕を制止しようとするのか、それにお父ちゃんの合図の理由もわからない。
忘れた頃、僕がお父ちゃんの横で弾くのを再開しても店員が無視していることがあるので、この行為が良いか悪いのか判断できない。
このことは、お父ちゃんも教えてくれない。
たぶん聞いても、答えが理解できないと思うから聞かないのだ。
誰も教えてくれないパチンコの暗黙のルールに従い、僕らはお父ちゃんが頭の中で描いている見えない柵の中から逃げ出すことなく不思議な時間を過ごしている。
時間もほどよく経過して、猫になっている弟は玉を追っかけるのも飽きたようだけど、店内をうろついて、うまく時間を潰しているようだ。
neko_play_ball.png
 僕も猫をやめて、店の出入り口近くの、お父ちゃんの右隣に座っていた。
右隣りには、鶏ガラみたいに痩せたピカピカ頭のおっちゃんだ。おっちゃんは、ほかの人と違って綺麗な服、パチンコを弾く手元を見たら珍しく大きな指輪をしていた。頭を180度回転させて、お父ちゃん越しに外を見ると、時々国鉄のディーゼルカーが走っているのが見えるので、それを見ながら天王寺の近鉄百貨店の玩具売り場と屋上遊園地を空想していた。屋上遊園地の人工衛星がぐるぐる僕の頭の中を回っている最中、お父ちゃんは何かの異変に気がついたようで、機械のような正確な動作による弾きを止めた。
すると、右隣のおっちゃんが、沸騰して薬缶の蓋が飛んでいくぐらい怒り出して、座っていた一本脚の椅子を、床から引き抜いて振り上げたのだ。
その瞬間お父ちゃんは、後ろから僕の脇に手を突っ込んで抱き上げ、ふたりで瞬く間に5メートルほど瞬間移動した。こんな素早いお父ちゃんの動きを見たのは初めてのことで、ずいぶん驚き、ただの中年ではなくて、まだまだ若く誇らしいと感じた。
そして、驚いたのはそれで済まなかった。
店内に流れる勇ましい軍艦マーチが負けを認めるほど、けたたましい破壊音が至近距離で鳴り響き、沸騰した薬缶のおっちゃんは椅子でパチンコ台のガラスを割るどころかパチンコ台を破壊してしまった。沸騰した薬缶のおっちゃんは、椅子を振り上げてから何の躊躇もなくパチンコ台を破壊したので、大人の世界ではそんなのもありなのかなと、瞬時に考えた僕の頭ではそう解釈してしまった。振り上げた金槌は、必然的に振り下ろして釘を打つように…… 
お父ちゃんは何もなかったように振る舞いながら、僕と偶然近く人いた弟を引き連れて逃げるように店を飛び出した。生まれて初めて、お父ちゃんが僕を守ってくれたような気がして、少しだけ嬉しくなり頼もしいとも思った。それに、お父ちゃんの機敏な行動があったおかげで、沸騰した薬缶のおっちゃんは怖くはなかった。チョコレートで口の周りが泥棒髭のようになっている弟はきょとんとしているだけで、手にはチョコレートを持っていなかった。

 どうも、子どもが大人の世界に連れていかれると、妙な事件に出くわしたりすることが多いような気がする。大人が決めているルールが理解できずに思考回路が停止し、夢の中にいるようで、子どもが行くところではないということが分かってきた。
お父ちゃんも、子どもをパチンコに連れて行ってはいけないと、気持ちを切り替えたのか、この事件以来、お父ちゃんは僕と弟をパチンコに連れて行かなくなった。違う遊びを覚えるわけでなく、あいかわらずひとりで行っているのだろう。
そして、僕らは晴れてパチンコを無事卒業することができた。
めでたし、めでたし。

あとがき
この話では、子どもが事件や事故に巻き込まれることはなかったが、昨今パチンコに子どもを連れて行った結果、悲しい結末に至ったことをよく耳にする。
沸騰した薬缶のおっちゃんみたいなエキセントリックな人物が集まりやすい場所でもあり、子どもを絶対連れて行ってはならない場所、そんなメッセージも込めている。
私は、パチンコ屋の前を通ることがあると、ふと、守ってくれる若い父の姿と、泥棒髭の幼い弟を思い出すことがあり、記憶から消えることがない。


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ピエロの呪い [手記]

1970年代、ゆういちの少年期シリーズ、第4弾。
ガチャガチャから出てきたピエロに呪われたお話です。

「アッ! イタタタタタタ―― 」
僕の足のすねに衝撃が走り、思わず叫んでしまった。
大の仲良しのユキオちゃんはアントニオ猪木の大ファンだ。プロレス技をかける遊びが好きで、いつも下顎を突き出しながら足四の字固めや、コブラツイストの技をかけてくる。おねえちゃんを実験台にしていたらしく、仕返しが怖いのでやめたと言っていたので、僕が実験台にされるようになったようだ。ユキオちゃんは何の真似をしているのかは、わからないけど、普段でも気合が入ったり、うまく事が進んだりすると、上半身を少しだけ斜めに傾けてバネのように戻る仕草が特徴的だ。
ユキオちゃんとアパートの部屋で遊ぶのも飽きたので、国鉄K駅近くで最近開店して多くのお客さんで賑わうニチイというデパートまで遊びに行った。店の前、ジューサーミキサーの何倍かの大きさの四角い透明プラスチックの中にカプセルがたくさん入ったガチャガチャが子ども達を誘惑している。
それは今までも何度か挑戦しているガチャガチャ、全体的に赤いデザインなので子どもの興味を引き、否応なしに僕らを呼び止める。
中はウズラの卵より少しだけ大きいカプセルの中に、ゴム製の怪獣、クワガタ、人形、その他いろいろ、全部宝物に見えてしまいカプセル容器にまで魅力を感じる。

ガチャガチャは一回10円。
たこ焼きだったら10円で5個、コロッケだったら10円で一個買える、でも僕としては10円でカプセル一個はコロッケといっしょで10円なりの価値があると思っている。
今日も10円のお小遣いをもらって、ポケットにしまっている。ポケットに手を突っ込み、ホコリの固まりや糸くずといっしょに10円玉を確認した。とにかく何でも不安になったらポケットに手を突っ込んで10円玉を触るのが癖になっている。小腹がすいたら、家の近くのおばあちゃんが作るたこ焼きを買おうかとも思っていた。しかし、ガチャガチャの前に来たからには、今日のお小遣い全額を投資して一回、回さないわけにはいかない。

ポケットからホコリの固まりや糸くずといっしょに10円玉を取り出して、ガチャガチャのハンドルの12時の位置に10円玉をはめ込み、大きなネジを巻くようにハンドルを回した。その10円玉は機械の中で真下になったら落ちて回収される仕組みだ。
「ガチャガチャ…… コトン」
出てきたカプセルを手に取りニヤニヤしていたら、ユキオちゃんが指さして「10円、10円、」と言うのだ。ユキオちゃんが指さした先のガチャガチャのハンドルの12時の位置に、なぜかまた10円玉がある。一瞬だけ不思議に思ったけど、すぐにわかった。
さっき入れた10円玉が中で落ちずに、また戻ってきたのだ。
そのままハンドルを回してみた
「ガチャガチャ…… コトン」
10円で2個目が出てきたので、嬉しくなり中身も確認しないままユキオちゃんにあげた。
それに、また10円玉が戻ってきている。ユキオちゃんは、うれしそうにバネのように戻る仕草をした。さらにユキオちゃんと僕は、周りの大人達に気づかれないように顔をみあわせ、お互い喜びを表現した。
それから、10回以上回したら、ポケットがいっぱいになり、ユキオちゃんも僕も手に持てなくなってしまったので、ユキオちゃんが気を利かせて入れ物を探しに行ってくれた。
ユキオちゃんは、すぐに猫が一匹入るぐらいの段ボール箱を持ってきたので、こりゃまた都合よくちょうどいい箱があったものだと思いながら、笑っているユキオちゃんを見たら、ユキオちゃんの顔をピコピコハンマーで叩いて、いっしょに笑いたい気持ちになった。
段ボール箱から仔猫でも出てきたら、それもまた楽しいなと思ったけど中は空っぽだった。
段ボール箱をガチャガチャの機械より奥に置いて、周りの様子を見ながらハンドルを回し続けた。出てきたカプセルの中身も確認せずに……
ガチャガチャの中のカプセルが残り数個となったら、自分たちは悪いことをしているのではないかと頭をよぎった。
ひとつ残らず出してしまったら、“とっても”悪いことなので、2、3個残して切り上げることにした。ガチャガチャのハンドルにはまだ10円玉があったので、そっと10円玉を抜いてポケットにしまった。
僕たちは段ボール箱を持って、O通り商店街を抜けて家に向かった。
ユキオちゃんにもカプセルをたくさんあげ、箱の中のたくさんのカプセルは10円を投資した僕がもらうことになった。10円玉が戻ってきたので投資額はゼロ円なんだけど、ユキオちゃんは10円使ったと思っているようだ。
ユキオちゃんと別れ、ひとりになった家でカプセルをひとつひとつ開けてオモチャを取り出した。でも、いつものワクワク感がなくて、なんだかつまらない。
箱の中のカプセルとオモチャを見ていたら、また自分たちはとっても悪いことをしたのではないかと頭をよぎった。
箱の中から何体かの小さなピエロの人形が僕を見つめていたので、段ボール箱の蓋を閉めて、家の唯一の押し入れの奥にしまった。

次の日、学校から帰り押し入れの段ボール箱を開けてみた。昨日と変わらないたくさんのカプセルとオモチャがごちゃ混ぜにはいっているのを見て、罪悪感が頭をよぎった。昨日より罪悪感を強く感じ、一瞬手の血が引いたような感じがしたかと思ったら、箱の中のピエロの人形が僕を見つめた。
深呼吸してから段ボール箱の蓋を閉めて押し入れにしまった。

次の日から、押し入れを開けなかった。
また、きのうより罪悪感を強く感じ、一瞬手の血が引いたような感じがしたかと思ったら、箱の中のピエロの人形を思い出した。
その夜は、ピエロの人形の夢を見てぐっしょり汗をかいた。

それから数日後、学校から帰り恐る恐る押し入れの段ボール箱を開けてみると、暗い段ボール箱の中でピエロの人形が泣いているようだった。
ピエロの人形が怖くなり、この段ボール箱を消してしまいたくなった。

次の日、大好きなテレビアニメ、マッハGoGoGoを観ていたら、押し入れからゴソゴソっと音がしたので思わず振り返った。弟が押し入れのオモチャ箱をあさっているところだったので胸をなでおろしたが、落ち着かなくなりテレビどころではなくなった。
押し入れのピエロの人形が怖くなり、そして重くのしかかっていた罪悪感に耐えられなくなり、今まで隠していたことを、お母ちゃんに打ち明けることに決めた。

僕はお母ちゃんに打ち明ける前に、悲しくはないけど涙が出てきた。
そして正直に、今までのことを包み隠さずお母ちゃんに話をした。
お母ちゃんは、あきれたようにフンとため息をついてから、大きな声ではぎれよく「すぐに返しなさい」と一言だった。

ユキオちゃんには、お母ちゃんに打ち明けたことは言わず、ひとりでニチイに謝りに行った。お母ちゃんから言われたとおりに、店の大人に声をかけ、大人の前掛けのポケットを見ながら、しっかりと謝った。ピエロの人形が入った段ボール箱を返す時、お叱りの最後に、「ええわ、それ」と言われたらどうしようと思っていたが、ピエロが入った段ボール箱を無事返すことができた。

大仕事を終えたような気分になり、O商店街をスキップで駆け抜けて家に帰った。
その夜、一個だけとっておいた赤色のカプセルの半分を鼻にかぶせて、
弟の前でピエロの真似をした。
そして、僕はピエロの呪いから解放された。

gachagacha.png

あとがき
ユキオちゃんは、まだ若いのに妻子を残し天国へ行ったと聞いた。
彼が、その時代を生きていたという証を残したかったので本名で書かせてもらった。

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魔法の世界を走る自転車とアメリカのおばちゃん [手記]

1970年代、ゆういちの少年期シリーズ、第3弾。

私が自転車に乗れるようになったのは小学校に入ってから数年してからのことでした。周りの友達は乗れるようになったのに私だけおいてけぼりにされているようで何とかしたいと、気持ちばかりが焦っていました。
そんな自転車との、孤独な格闘の思い出です。

自転車を真っすぐ立てて、そっと手を離したら倒れてしまいます。この物理的な現象が証明しているように、僕は自転車が二輪だけで走れるというのが全く理解できません。誰かに聞いてもちゃんとした答えを出してくれる人がいないので、どうしたら乗れるようになるか自分だけで一生懸命考えました。
最終的に考え出した仮説は、こうです。

“二輪で数メーター進むと、説明はできないけど不思議な現象によって自転車が魔法にかかったように倒れなくなる”

消去法でもこの仮説しか浮かばず、我ながら的を得た素晴らしい仮説だと思いました。町を走る自転車は、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、みんな魔法にかかっていることになりますが、知恵をふり絞って考え出した仮説なので間違いないと思いました。
そこで、危険が伴うけど、意を決して仮説証明のために実験をすることに決めたのです。
誰にも計画は教えません、僕だけの秘密の実験です。

天気のよい休日の午後に、場所は自宅からは目と鼻の先の道幅5mほどの生活道路。
実験内容は、自分自身で自転車にまたがり、自転車を急発進させて数メーター、いや、うまくいけば数十メーター倒れないように持続させ、魔法の世界にワープするか確かめるものです。もし、魔法の世界にワープしなければ…… 想定外なのでその先は考えないことにしました。
スタート地点は、僕らが”アメリカ”と呼んでいたアメリカ堂というパン屋さん兼、駄菓子屋さんの前。いつも当てモノくじで高確率に景品を獲得しているので、アメリカのおばちゃんにとって僕は要注意人物らしいのです。アメリカのおばちゃんと言っても、アメリカ堂のおばちゃんなので、れっきとした日本人です。そんな、アメリカのおばちゃんは気づいたのか店の中から様子を気にしています。
アメリカのおばちゃんから見えないようにスタート地点を変更して、道路脇に仮にスタンバイしました。普段から人通りは少ないのですが、誰ひとりいなくなるタイミングがなかなか来ません。今日は、車の路上駐車もなく、道路は直線50メーターの滑走路のようで、その先は約90度にカーブしているため、そこを終点に決めました。
ドキドキしないわけがなく、鼓動が早くなってきています。
スタートのタイミングは、誰ひとりいなくなった瞬間であって、自分で決められません。その時は予告なしで突然訪れるかもしれません。
90度にカーブしている付近で猫がゆっくりと横断しているのが見えました。どうやら、その猫が渡り終わった瞬間がスタートです。

自転車を道路の中央に移動させ、ハンドルグリップを固く握りしめ、自転車にまたがって右ペダルを2時の位置に固定し、完璧な準備を整えました。
向こうで猫がスタートのフラッグを振りました。その静かな合図により、お寺の橦木(鐘突き棒)<シュモク>のような、スローで力強いロケットスタートを切りました。
まだ倒れず乗れているけど、ハンドル操作は神様にお任せしているようだ。
スピードを上げて進んだ直後から魔法の世界なんかにワープする気配さえしません。気持ちが全く自転車に乗らないままスピードを上げて進むと、どんどん右へ反れていく。
細い板の上をスピードを上げた自転車がどこまで進めるかのように―― 、そのうち車体は傾き始めます。
bicycle.png
終点の約90度カーブ地点まで及ばず、自転車は交通事故のように激しく固いアスファルトの道路に滑るように倒れ、歯を食いしばってその衝撃に耐えました。
急に周りが無音になったように自分だけの世界になり、何をしでかしたのかわからなくなりました。手足を見たら、たくさんの大きな擦り傷で血が滲み流れ出てきます。
道路に倒れたまま魔法の世界へのワープのことも忘れ、泣きだしてしまいました。
決死の覚悟で臨んだのですが、あの仮説は間違いだったことを身をもって知ったのです。

…… それから月日が流れ、魔法の世界へのワープのことを忘れかけた頃です。
ふとしたことで自転車の“ケンケン乗り”をいとも簡単にマスターしたのです。
サドルにまたがってはいませんが、二輪だけで倒れずに走れるようになったわけです。学校から帰ってきては飽きもせずケンケン乗りで遊ぶ毎日が続きました。まるで、キックスクーターで遊んでいるみたいに。二輪走行できているのにケンケン乗りだけというのも、もどかしいものです。毎日ケンケン乗りをしていると、ペダルを踏んでいない右足をサーカスのように上げたり、荷台に乗せたりもできるようになりました。
そして、ブレークスルーは突然訪れました。
試しにサーカスのようにしていた右足を、車体の中央を超えて、そっと右ペダルへ乗せてみたのです。「もっと早くに右ペダルに乗せておけばよかったのに、少年!」と、誰かが言ったような瞬間でした。

自転車が、“ようこそ”と僕を受け入れてくれたのです。
自転車に乗れるまでの道のりは長かったけど、乗れるようになった喜びと同じぐらい、自分で勝ち取った喜びで自分の世界が少し広がったような気がしました。
あの、魔法の世界へのワープの挑戦は僕だけの秘密にすることに決め、自転車に乗れるようになったことを早く誰かに伝えたくて心が躍りました。
アメリカの近くまで走ってみることにしました。
自転車を止めて、遠くからアメリカのおばちゃんを見たら、何だか嬉しくなってニッコリ笑ってしまいました。そしたらアメリカのおばちゃんがコクリと頷くような仕草をしたような気がしました。あの実験の時、アメリカのおばちゃんが見ていたのではないかと思ったら、急に恥ずかしくなってアメリカから逃げるように店を離れました。
「おばちゃん、あしたから、あてモノしに、自転車でいくでぇー」と心の中で言いながら。

それから、自転車は僕をどこにでも連れて行ってくれるようになりました。
めでたし、めでたし。

bicycle_america_cat.png
タグ:自転車 手記
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ペット用自動給水機の水たれ問題 [ペット]

行儀よく座って、リズミカルにチャッチャッチャッと水を飲むニャンコはかわいいもんです。ニャンコは自分で探し当てた水か、流れている水を好むらしく、朝の歯磨き時や風呂場にやってきては水を飲みたがります。水を飲んで満足したらブルブルっと鈴を鳴らして、お礼も言わずどこかへ行ってしまいます。
気ままに水を飲んでいますが、我が家のニャンコさん専用の水飲みは給水タンクにペットボトルを利用する自動給水機を使っています。リッチェル製の「ペット用ウォーターディッシュS」というもので、ケージに取り付けるタイプです。
ニャンコが水を飲んで皿の水が少なくなると、自動で水が下りてきて適量を保つもので、何の不具合もなく良好に使用しています。
セッテング方法は、ペットボトルに水を入れたらボトルアダプターをねじ込んで取り付け、逆さにしてボルダーに差し込みます。水が下りてくるときは、空気がペットボトル内にゴボゴボと入るので、その音がニャンコの琴線に触れ、ペットボトルを取り付けたら水飲みに飛んでくることがよくあります。
問題はこの時なんです。ペットボトルを逆さにしたら水が床にいくらか垂れてしまいます。仕方がないので、写真のように小さい雑巾を置いていましたが、何かいい方法はないものかと……。
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取り付けが完了した状態です。
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水受けを作ろうと思いペットボトルで何度か試作を繰り返しました。
最終形はこんなものです。
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ここに、引っ掛けておけばOKです。
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ペットボトルを逆さにしても水受けがあるので安心。
垂れた水は蒸発を繰り返しますので半永久的に、ここにぶら下げておきます。
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ペットボトルは便利な工作材料です。
なぁ、ニャンコ!


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涙の肉飯 [手記]

1970年代、ゆういちの少年期シリーズ、第2弾。

昔を思い出し、何故?あんなことしてしまったのだろうと、後悔することありませんか? 
大阪万博が開催された年、私が小学生だった頃のほろ苦い話です。
私も含めて、同級生4~5人が先生のご自宅に遊びに呼ばれたことがありました。
同級生達は、やんちゃで悪戯好き、理科好きの科学少年、サンダーバードマニアまで、当時はそんなヤツらと臨機応変に遊んでいました。
遠い先生のご自宅まで、みんなで自転車を連ねて走ります。
私の補助輪なし自転車運転技能は奥手で、そのデビュー間もない頃だったのではないかと思います。自転車デビューした途端に行動範囲が広がり、車の免許でも取得したかのように町のどこにでも行けるようになった喜びがありました。自転車の無駄なパーツを外すと車体が軽くなり、楽に自転車に乗れることも覚えました。
チェーンカバーの無い軽い車体の自転車で、同級生達と先生の家まで競い合うように走ります。

遊びに呼んでくれた先生は若い女性教師。
当時のアルバムを開くと色白で面長、清楚で綺麗な先生だったと再認識します。
先生は新婚さんで、ご自宅を訪問した時には先生だけがいらっしゃいました。どう考えても担任の先生じゃなかったと思うのですが、その先生が呼んでくださった生徒の中に何故か私が入っていました。
先生は、学校とは違う洋服なので少しだけ先生の家庭生活の様子が頭の中をよぎります。学校で見る先生からは緊張感を感じますが、ご自宅ではこうも違うものかと思ったものです。
donburi.png
ご自宅に上げていただいたら、すでにお昼の準備が整っていました。
先生は、にっこりと、”にくめし”という丼ぶりものだと言いました。
何の肉かはわかりませんが、ご飯の上に肉ということはわかります。
私の家では肉飯なんか聞いたことも食べさせてもらったこともなく、それも丼ぶり鉢でいただくご飯に強く興味を惹かれました。
”にくめし”という言葉の響き、その匂いと、丼ぶり鉢という器に胃袋が踊り、空腹の大波が押し寄せてきました。口の中は大量の唾液で浸水しています。
同じテーブルに座っている同級生皆同じだったはず。
その肉飯は、今でいう牛丼だったのではないかと思います。
いただきますの挨拶で肉飯を食べ始めました。
私は、一口食べた瞬間、初めて食べた肉飯の匂いと味に驚きました。
そして、空腹の大波は、いつの間にか食欲の連続した大波に変わっています。
「おいしい、おいしい、おいしい」口に出しては言いません、心の声で何度も。食べることに集中するため壁の絵画をじっと見つめながら咀嚼します。
何回「おいしい」を言っても表現できない美味しさ、ほどよい甘さが記憶の引き出しにいつまでも残っています。

しかし、小学生の男子って罪なヤツらです。
その中のひとりが、美味しくなさそうな態度をとってお箸をパタンと音がはっきりわかるように置き、そのお箸を置く音で黒いモヤがかかったように雰囲気が悪くなりました。もうひとりも、俺も食べないと言ってお箸を置き、それに続いて私も含めて皆がお箸を置いていましました。肉飯の半分も食べていません。どうして、ひとりにつられて、気持ちと逆の態度にでるのでしょうか。悪気はないのですが、その行動をすることによって相手の感情をどう傷つけてしまうかが、かなり鈍感なのです。

先生が「おいしくなかったかな――?」と言ったところまで記憶にあります。
その先の記憶は……プツリと糸が切れるように、思い出せません。

大人になってから、時々この事を思い出します。
先生にたいへん申訳ない振る舞いをしたことが今になっても悔やまれるからです。あの年頃の子どもを、先生が理解してくれていれば、少しは救われますが、先生に謝りたいのです。帰ってきた旦那さんに、先生は何て言ったのだろう? まさか、泣いたりしたんじゃないだろうか? 冷静になって考えると、あの行為は先生に対しての“いじめ”だったのではないかと思うこともあります。
「おいしくなかったかな――?」の一言でしたが、その言葉の裏には重くて複雑な思いがあったのだと思うと、今になっても正直な気持ちを伝えなければならないと思うのですが、そんなチャンスは訪れることはありません。
この肉飯の出来事が教訓となっていれば、相手の立場になって物事を考えることや、思いやりをの気持ちを私に与えてくれたのでしょう。そして、その後の自分の人生にプラスに働いているのであれば先生も許してくれるのではないかと思うことにしています。

「先生! あの肉飯は、おかわりをしたいほど、おいしかったんです」

先生がおもてなししてくれた肉飯、私の記憶の宝物です。


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ニャンコ用ドアストッパー [ペット]

部屋を冷暖房する時期になると、ニャンコやワンコが自由に部屋間を行き来できなくなってしまいます。我が家のニャンコからもどうにかしろと意見がありました。
気を付けてはいるのですが、リビングから廊下に通じるドアを完全に閉めてしまい、ニャンコは自由に行き来ができなくなってしまいます。そのドアが閉まっている状況に遭遇するとニャンコは、頭を二次ルートに切り替えトボトボともうひとつの回り道に向かいます。そのもうひとつの回り道にある襖が閉まっていたらニャンコはガッカリ、見てて可哀そうです。襖を開けてしまうパワフルなニャンコもいらっしゃるようですが、うちのニャンコはスターウォーズに出てくるような巨大な扉が目の前に立ち塞がっていると肩を落としてあきらめてしまいます。
そうなんです、部屋飼いのニャンコやワンコには部屋間の行き来を妨げる”ドア問題”が存在するのです。
ニャンコは、家の中であっても縄張りパトロールをしなければならないらしく、部屋間の行き来が出来なくなるとストレスを感じさせてしまうかもしれません。

「ごめんなニャンコ、ドアを気にはしているんだけど、うっかり閉まってしまうこともあるんだ、悪気はないんだよ」

ニャンコが部屋間を移動できるようにドアの下ど真ん中にキャットドアを取り付ける方法もあるのですが、穴を開けずにドアストッパーで恒久的対策したいと思います。
ドアはドアクローザー付きなのでドアを中間地点にもってくると、勝手にドアは閉まってしまいます。ですので、適当な小さな段ボールの箱をドアに挟んでニャンコの通路としていましたが、これもまた段ボールの箱が逃げてドアが閉まってしまったりすることもしばしばありました。
そこで、何年も使えるように段ボールの箱の代わりとなるドアストッパーを2×4(断面38mm×89mm)材で作りました。作ったといっても現物合わせしながら、2×4の廃材をノコギリで角を落としたり、L字状に切ったりしただけです。
その、ドアストッパーはこんな形になりました。
DSC_1246.jpg

将来ニャンコが太ったと仮定しても通行できるような幅(110mm)を確保、2×4材なので段差は38mmと低く、ニャンコが通行するのに無理はないはずです。この38mmより低いと、ドア受け面積が少なくなってしまいますので、2×4材が最適な寸法だったようです。ドア受け面には100均の円形クッション材を2個貼り付けてあります。

ドアストッパーを真上から見たところ。
DSC_1248.jpg

ドアが閉まらないように、こんな感じ。
ニャンコが通るドアの隙間は、110mmです。
DSC_1247.jpg

ニャンコがパトロールにやって来ました。
DSC_1250.jpg

ニャンコのパトロールが終わったようです。
DSC_1251.jpg

とか言って、結局はキャットドアの取り付けに至るかもしれませんが。
とりあえず、めでたし、めでたし。


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ボロアパートの不思議な話 [手記]

昭和四十年代、小学生だった頃の不思議な話です。

当時、ボロアパートで父母弟の家族四人で暮らしていました。
アパートは二階建てで東西に長く、西側にはメインの内階段があり東側には、当時子どもたちが「ヒジョー階段」と呼んでいた赤いペンキで塗られた雨ざらしの鉄骨階段がありました。近所には年が近い子どもがたくさんいてヒジョー階段は人気がある遊び場のひとつです。
東側は三十分ほど歩くと山、子どもたちは東山と呼んでいました。
東山は自然に満ち溢れ溜池もあり、ザリガニ釣りに虫捕りによく足を運んだものでした。

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住んでいたボロアパートは二階で四畳半と三畳の二部屋と猫の額ほどの台所。
家財道具は冷蔵庫と白黒テレビぐらいが大物で、その他のものは無かったのか記憶にありません。その白黒テレビでアポロの月面着陸を見た記憶だけはあります。
よくもそんな所に四人で暮らしていたものだと、今思えば毎日が避難所生活並みだったのです。
隣町に三人兄弟の従妹が住んでいるので、母がたまに遊びに呼んでやって一晩二晩泊まっていくことも。夜は布団の上でじゃれあって、それはそれは楽しいものでした。
四人で生活していれば三人増えても同じ、就寝時は全員むし鮨のように蒸れていました。

ボロアパートは全部で十六世帯ぐらいだったでしょうか、昼間でも廊下や共同トイレは薄暗く洞窟のような環境です。サルやワニを飼ういなかっぺ大将に出てくる西一(ニシハジメ)みたいな住人もいたり、そこから逃げ出した孫の手ぐらいの長さのチビワニがうちの猫の額ほどの台所へやってきたこともありました。
負けずと、うちも文鳥やシマリスを飼ったりしたこともありましたが、サルまで飼っている西一には勝てません。
一番の仲良しの同級生家族が住む部屋は2階の端っこで、お父さんが金魚好きとあって部屋の中には大きな水槽が無数に置いてあり、泡を出すポンプの音と水槽独特の臭いが印象的でした。ボロアパートから飼育しているペットを全部引っ張り出せば小さなペットショップがオープンできたのではないかと思うほどでした。
店長は、たぶん西一が担当していたでしょう。

思い起こせばきりがありません。

どこの部屋だったか記憶にはありませんが、「となりのお兄ちゃん」と呼んでいた子ども好きな若い一人暮らしのおにいさんが住んでいました。
薄暗いボロアパートだったので顔ははっきり覚えていませんが、俳優の佐藤浩市さんのようなイメージを今でも持っています。
子どもから見ると大人とお兄ちゃんは違うんですね、子どもたちの気持ちに近いからでしょう、皆となりのお兄ちゃんが大好きでした。
ボロアパートは屋上から屋根に上がれるんです。夏の夜、となりのお兄ちゃんは暑さから逃れるためか屋根で寝ていたらしいんですが、ほんとうに寝てしまって転落してしまったのです。後から聞いた話では骨折ですんだようですが、ほんとうのことはわかっていません。となりのお兄ちゃんは次の日からいなくなりました。
鳥小屋の扉を開けたら白い鳩がすぐに飛んで行ってしまったように。
この時初めて突然の別れを経験し、犬になって遠吠えしたいほど寂しい思いをしました。

そのボロアパートを中心に起こる色々な出来事が子どもだった私にはとても刺激的でした。そのボロアパートで暮らす様々な家族の喜怒哀楽を共有したおかげで。あのボロアパート生活がなかったら今の自分がないのではないかと思うほどです。

そんなボロアパートで不思議なことがあったのです。
ヒジョー階段と呼んでいた鉄骨階段での出来事です。

まだ明るい夕方、いつものように母に遊びに行ってくることを告げて弾けるように家を飛び出し、薄暗い洞窟のような廊下を歩きヒジョー階段の踊り場に出たのです。

スーーーーーッと来るんですね。

背筋が凍り付きました。
その夕暮れ時に。

青白い火の玉が、「スーーーッ」っと長い尾を引きながら飛んでいます。

あのチビワニの長さと同じです。
火の玉の尾はまるでガスバーナーのような綺麗な青です。
音は全くありません。
火の玉は、ちょうどボロアパートの影から出てきたところで、目の高さと同じ高さで7〜8m先の至近距離を右から左へ、東山の方向へ飛んでいきます。
水平で真っすぐな、油を塗ったレールの上を滑るように、右から左へ。
ゆっくり、ゆっくり、人が歩くぐらいの速さで宇宙空間を移動するように。
ヘビに睨まれたカエルのようになって息が詰まりそう、これから何をどうしていいかわからない。
近くに誰かいたら「あっ、あっ、」と言って指差し教えてあげる。

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そうだ、間に合わないかもしれないけど、何としても母に見せるんだ!
あわてて引き返して猫の額でゆうげの支度をする母を呼びに行く。
説明する言葉が頭にうまく出てこない。声に出かかったが、舌の上で言葉が止まっている。

母を連れてヒジョー階段まで戻った時には夕暮れ時の寂しい景色しかそこにはありませんでした。

でも母は信じてくれました。

あの時母を呼びに行ったら、火の玉はもういなくなると分かってはいたのですが、どうしても母に見せたくて。
そんな出来事がある時って周りに誰もいないものなのです。

そこには、ぽつんと、母と私だけ。
鉛のように重苦しい空気が周りを取り囲み、夕暮れの景色も早く闇へ吸い込まれそう。

やさしい母に私は聞いてみました。
「となりのお兄ちゃんじゃないよね?」

あとがき:
これは私が本当に見て体験したこと、昔から人魂と呼ばれている現象だと思います。
もう、あれ以来見たことはありません。


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おっさんが10年間通勤時間に英語を聴くとこうなる [学習]

毎日の通勤時間時ボーっと電車に乗って、ボーっと歩いて平々凡々と時は流れる。
そのボーっとしている時間を自己レベルアップに有効活用しようと思い立ったのは、おっさんになってから。
人生の貴重な時間をドブに捨てているような気がして。
そこで、ボーっとしていた時間を使って英語の勉強をすることに。
勉強というほどのものは考えていません。ボーっとしていた時間が有効活用されて後に何か残るものがあればいいんです。
目標もありません。
スタートしたのは40歳後半の頃です。
40歳後半は語学学習は手遅れかなと思ったのですが、ボーっとしているよりはましであることは確かです。
それまでにも、英語は必要だと思い書籍のタイトルに騙されて数多くの参考書を求めたりしたのですが全く物にはならなかったのです。
我が家の本棚を見るとどれだけ役に立たない本を購入したかの証があるだけです。

勉強といっても、通勤時に英語のPodcastを聴き流す方式です。
半導体メモリーに記録するタイプの音楽プレイヤーなるものが世に出始めたのもきっかけのひとつです。

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はじめてPodcastをiPodに入れてみたのがCNNのデイリーニュース、たしか2,3分の番組だったかな、スピードが速く何を言っているのか全く理解不能単語さえも聴き取れなかった記憶があります。
当時から今まで聞いていたPodcastの番組を思い出してみますと・・・
・CNN News
・English as a Second Language (ESL)
・WSJ This morning
・Voice of America Learning English
・ECC英会話
・実践!Let's Read the Nikkei in English
・Speak UP Radio

ジェフさんのESLをはじめ、色々と聴いてきました。今では毎日更新のWSJ This morningが一番のお気に入りです。
毎日聴くものなので、更新間隔が長い番組は敬遠ぎみになり一日一回以上更新するニュース系になってしまいます。
ひたすら聴き続けました。現在も続けています。
耳にイヤホンを付ける→再生ボタンを押す→英語を聴く→歩く→犬の糞を避ける→歩く→カラスを追い払う、毎日のルーチン作業になり無意識のうちに勉強する真似だけしているみたいです。朝家を出たら無意識のうちに英語を聴き流しているのです。
まったく苦も無く。
しかし、聴き流すだけでは、英語を聴いて理解する能力は全く向上しませんでした。
が唯一、英語を話しているリズムだけは身に付きました。
棒読み英語が、英語を母国語で話す人たちと同じようなリズムで読める能力が付きました。
そうなんです、5年ぐらい経過した頃からこの「リズム」を獲得したのです。

ここでまとめるなら、
・英語の聴き流しを続けても理解する能力は身に付かない。
・英語の聴き流しを続けると英語を話すリズムが身に付く。

リズムだけ身に付いても、、、他に能力が向上する手は無いかと模索していたら、
書店で「キクタン」というCD付の英語教材と出会ったのです。
「聴く単語」の短縮でキクタンです。

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CDの内容は音楽に合わせて英語単語→日本語訳の繰り返しです。
ひたすらその繰り返しです。
家で椅子に座って、さあ聴きましょうというものではありません。
そんなことしたら3分でイライラし、ちゃぶ台をひっくり返すことでしょう。
外出時に無限リピートして1時間や2時間聴く教材で、バックグラウンドに軽快な音楽が流れているので脳が拒否しません。
通勤時間が3時間であってもネタ切れしません。
聴き流しなので英語単語の意味の暗記は困難です。
しかし驚くことに英単語の発音が聞き流しによって脳ミソに溶け込んでいったのです。溶け込んだら英語を聴いてみます。そうなんです!英単語がくっきり浮かび上がって聴き取れます。聴き取れると聴いたことある単語なんだけど、意味は何だったっけ?となるのです。そうなるともう半分完成です。その場で辞書やスマートフォンで意味を調べると、そこで完成するわけです。この聴き取って意味を調べる行為で脳ミソの引き出しに単語の発音とその単語の意味がセットになって格納されるようです。この引き出しには、日本語訳じゃなくて単語の意味を格納するようにします。
そうすると、英語を聴いてて「フィギュラァウト」と聞こえたら「見つけだす」んだなと頭に浮かびます。
このキクタンで脳ミソに溶け込んだ単語であれば、ナチュラルスピードでも、さらに早口でも、映画で遺言のセリフの場面でも単語だけはわかるようになります。
そうです、50歳を過ぎてから単語が聴ける能力を獲得しました。
また、キクタンで聞いた単語のスペルを見ておいたほうが良いようです。
そうしないと、キクタンで覚えたはずの単語が入った英文が読めません!(笑)
キクタンで脳ミソの引き出しに、「聴く能力」と、「意味」をいれましたが、もうひとつこの大まかなスペルも入れた方がいいですね。英検を受けるわけではないので、スペルは映像として記憶するだけにしています。
ここまでくると、前に述べた英語のリズムと、このキクタン効果で英語がうまく読めます。
さらにディクテーションとシャドーイングの能力もかなり上がっています。
脳ミソに溶け込むまでには、一つのユニットを繰り返し一週間ぐらいは聴いています。不足してたらさらに一週間追加といった感じで自分で調整します。

恐るべし、キクタン!

このキクタン初期はCDしかありませんでしたが、今はスマートフォンのアプリで入手することができます。アプリだとスペルや例文がすぐに表示できるので便利ですが、アプリの品質が悪いためアプリが強制終了することが頻繁に発生します。
アプリの更新が無く、改善は期待することはできませんので注意が必要です。

ここまで、何年でしょう?10年弱かなボーっと時間をPodcastやキクタンを続けてきましたが、
さて私はどうなったでしょうか・・・・・?

答えは、

残念ながら、恥かしながら、ナチュラルスピードのニュースや映画を見てても何を言ってるかわないことが多いです。話題が推測できる場面になると100%わかることもあったり、かなりのムラがあります。

最近、ある半日の英語講座に参加するチャンスがあり、講座の中で講師がいきなり英語の録音音声を再生しました。何を語っていたのか隣の人と話し合いなさいというのです。私は隣に首を回転させたら、わかってはいたのですが若い娘じゃなく、若い係長っぽい男です。その係長は「さっぱり分からない」と言いました。私は聴き取ったことを100%ではありませんがその係長に教えてあげました。
講師が答え合わせをしたら概ね聴き取った内容と合致していました。私は心の中でガッツポーズをしてると、係長は「このオヤジ見かけによらずスゲーな」と目がしゃべってました。
本当は、係長は目で舌打ちしているだけだったかもしれませんが。
そんなこともあり、多少の自信も出る場面もちらほら。

DSC_1203.jpg

私は英文法を勉強しようと思っても解説している日本語が理解できないので文法の勉強をしようとは思っていません。

しかし、続けます、聴き流し方式を
・・・・・現在も「キクタン+Podcast」

おっさん達よ!
明日から英語の聴き流しにハゲめ!


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